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第12期会長挨拶

左:乾前会長 右:鈴木会長

乾賢一会長の後任として第12期会長に就任致しました。新会長としてご挨拶申し上げます。

 歴代の会長、役員および会員の皆様のご活躍のもと、日本薬物動態学会は、薬物動態学を常にリードしてきました。さらにDrug Metabolism & Pharmacokinetics誌の刊行、年会発表の英語化などにより情報を発信し続け、国際的にも高い評価を受けております。実際に、薬物体内動態およびその支配因子に関する研究は飛躍的に進み、分子レベルの知見からヒトin vivoにおける薬物体内動態の予測までもが可能とされ、医薬品開発、医薬品適正使用等に多大な貢献をしてきております。今後も、薬物動態研究は更にその重要性を増すものと考えられます。本学会は1985年に設立されましたが、このように長期にわたり取り組むべく研究課題に早くから着眼され、また本学会の設立・発展にご尽力を賜り、その方向付けをされてきました先達の先生方の先見性には最大限の敬意が払われるべきです。

 それでは、私たちは今、何をなすべきでしょうか。現在は医薬品開発の方法そのもの自体の大きな変革期にあります。開発上の問題点として、有効性や安全性・毒性などにも注目しなければならない時代となりましょう。私たちには、今までの薬物動態研究をさらに発展させつつ、20~50年後の後進の方々のために、新たな発展の道を拓くことが求められているものと考えます。創立20周年記念講演にて、粟津荘司先生は、私たちの最終的な目的は薬物濃度の理解を基盤としながら、ヒトにおける薬効、安全性 / 毒性を理解することにある旨のご指摘をされています (maui_awazu.pdf)。大切なのは、今後の方向性についての議論を重ね、今までに集積された薬物動態学の知識や経験を最大限に活かし、本学会独自の方法により新たな問題に取り組むことかと思います。

 医薬品開発を考えたとき、薬物動態解析は必ず必要になります。分析技術の発展に伴い、代謝物の動態等も含めた精密な薬物動態解析が、更に要求されてきます。これらの課題の解決を進めながらも、歴史という長い時間軸の上に立ち、今までの活動を振り返ると共に中長期的な展望のもとに新たな展開を図ることの重要性を感じております。第12期では、会員の皆様方の直近のご要望に応えられるよう努力を進めると共に、今後の発展の方向性についての議論も進められればと考えております。会員の皆様方の忌憚のないご意見をお寄せいただければ幸いでございます。2年間、何卒宜しくお願い申し上げます。

日本薬物動態学会第12期会長
東京大学医学部附属病院薬剤部
鈴木洋史