知をつなぎ、次代を拓く ― 薬物動態学の現在と未来を共有する場として
このたび令和8年より、日本薬物動態学会ニュースレター(NL)編集委員会の第8期編集委員長を拝命いたしました、東北大学大学院薬学研究科の平塚真弘です。長い歴史と確かな実績を有する本NLの編集を担うこととなり、責任の重さを感じるとともに、大きなやりがいを覚えております。
日本薬物動態学会NLは、2002年に第1期編集委員長・玉井郁巳先生のもとで創刊されました。その後、第2期・山崎浩史先生、第3期・湯浅博昭先生へと引き継がれ、学会活動や薬物動態研究の最新動向を日本語でわかりやすく伝える媒体として着実に発展してきました。さらに、第4期・松永民秀先生、第5期・前川京子先生、第6期・登美斉俊先生の各委員長のもとで、企画・連載の充実と情報発信力の強化が進められ、NLは学会員にとって欠かせない情報基盤として定着してきました。
2015年以降は、DMPK誌のオンライン化と歩調を合わせる形で電子版NLへと刷新され、利便性と即時性が大きく向上しました。直近の第7期編集委員長・長坂泰久先生のもとでは、「肩ひじ張らずに読める」「読んで楽しい」ことを大切にしながら、低分子医薬品に加え、抗体薬物複合体(ADC)、核酸医薬、細胞・遺伝子治療など多様なモダリティを対象とした連載企画や、AI・数理モデリング・先端分析技術といった新しい潮流を積極的に取り上げ、NLの内容は一層充実したものとなりました。
現在のNLは、学会本部からの情報提供という基本的役割に加え、薬物動態研究の広がりと進化を俯瞰できる「知のポータル」として機能しています。また、「アドメサークル」などの企画を通じて、世代や所属を越えた会員相互の交流を促進してきた点も、本NLならではの大きな特徴と言えるでしょう。
第8期では、こうした歴代委員長の先生方が築いてこられた基盤を大切に継承しつつ、私自身の専門であるファーマコゲノミクスや個別化医療の視点を意識的に取り入れていきたいと考えています。薬物動態学は、分子・細胞レベルの理解にとどまらず、遺伝的背景や疾患特性を踏まえて「個人差」を捉える学問へと進化しつつあります。NLが、次世代の薬物動態研究や臨床応用を考えるためのヒントを提供できる場となることを目指します。
また、若手研究者や学生の皆さんにとって、本NLが「この分野で研究を続けたい」「この学会に関わりたい」と感じるきっかけとなることも重要です。レジェンドの先生方の経験や思想を学びつつ、新しい世代の挑戦や試行錯誤が自然に共有される場として、NLをさらに発展させていきたいと考えています。
NLは編集委員会だけで完結するものではなく、会員の皆様お一人おひとりの寄稿や情報提供によって支えられています。今後とも、会員の皆様と共に歩むNLとして、日本薬物動態学会のさらなる発展に貢献していければ幸いです。引き続きのご支援とご協力を、心よりお願い申し上げます。。
ニュースレター編集委員長
平塚真弘
東北大学大学院薬学研究科