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会長挨拶

過去の会長挨拶

顔写真:楠原洋之 加藤将夫前会長(金沢大学)の後任として、このたび日本薬物動態学会第19期会長を拝命いたしました。平林英樹副会長ならびに第19期理事・監事の先生方とともに、本学会の持続的な発展に向けて誠心誠意努めてまいります。会員の皆様をはじめ、関係各方面の皆様におかれましては、引き続き本学会活動へのご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 本学会は、薬物動態学およびその関連分野の発展を目的として1985年に設立され、基礎研究から応用研究に至るまで、産学官の多様な研究者・技術者が集う学術団体として活動してまいりました。医薬品の創製、開発、適正使用、安全性評価において、体内動態の理解と予測は不可欠であり、本学会はその学術的基盤を支える役割を担ってきました。

 近年、医薬品開発を取り巻く環境は大きく変化しています。新しいモダリティの登場、個別化医療の進展、国際的な規制調和の加速、さらには動物実験の代替・削減を志向する新しい評価手法(NAMs)への関心の高まりなど、薬物動態学に求められる役割は一層多様化しています。このような時代背景を踏まえ、本学会が果たすべき使命を明確にするため、私は学会活動の指針として**6つのC(6C)**を掲げたいと考えています。

  • Change は、環境の変化を的確に捉え、学会自身も柔軟に進化し続ける姿勢です。
  • Challenge は、ヒト体内動態の予測や個人差の理解など、本質的かつ困難な課題に果敢に取り組む姿勢を意味します。
  • Collaboration は、産学官連携や分野横断的な協働を通じて、薬物動態学の価値を最大化することです。
  • Communication は、学会内外での活発な対話を促進し、立場や世代を越えた議論を支える基盤です。
  • Contribution は、医薬品開発や適正使用を通じて社会に貢献し、科学的知見を広く還元するという学会の根幹的使命です。

 そして Connection は、人と人、学会と社会、国内と国際社会をつなぎ、日本の薬物動態学を世界の学術コミュニティの中で位置づけていくことを意味します。

 これら6Cのうち、ContributionConnection を具体的に体現する取り組みの一つが、本学会の出版事業です。学会誌 Drug Metabolism and Pharmacokinetics(DMPK)は、薬物動態学分野における研究成果を体系的に発信し、学術的知見を社会へ還元する重要な基盤として機能してきました。また、DMPKは国内外の研究者をつなぐ学術的ハブとして、日本発の研究成果を国際的な議論の場へと結び付ける役割も担っています。

 今後も、DMPKを中心とした出版活動を通じて、質の高い研究成果を継続的に発信するとともに、編集体制や投稿環境の充実を図り、会員の皆様にとって発信力のある学術誌としての価値を一層高めていきたいと考えています。これは、本学会が社会に貢献し、国際社会とのつながりを強化していく上で、極めて重要な取り組みであると考えています。

 日本薬物動態学会が、会員の皆様にとって価値ある学術交流の場であり続けるとともに、社会および国際コミュニティから信頼される学会として発展していけるよう、微力ながら尽力する所存です。今後とも、本学会の活動への変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

日本薬物動態学会第19期会長
楠原洋之(東京大学)