メインメニュー

第14回ショートコース(高崎)の「見どころ・聞きどころ」(事前参加登録:10月29日締切)

日本薬物動態学会 第14回ショートコース

見どころ・聞きどころ

セッション1 MPS

 Microphysiological System(MPS)技術は、生体内の臓器や臓器間の相互作用をin vitroにおいて再現するもので、創薬の現場においても実験動物を用いた試験の代替法として期待されている。欧米を中心に盛んに研究が行われているが、国内では日本医療研究開発機構(AMED)の「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生医療技術を応用した創薬支援基盤技術の開発)」が5年前に始まり、産官学が連携して研究を進めている。本シンポジウムでは第一線で活躍されているアカデミアの研究者と積極的に取り組まれている企業から現状等を紹介いただく。

(文責:松永民秀・吉成浩一)

セッション2 M&S

 M&Sセッションでは、近年創薬・医薬品開発に取り入れられてきた新たなM&Sアプローチの事例として、局所投与の空間モデル解析、スイッチ抗体のMechanistic Model解析、PBPK・QSPなどのFully Mechanistic Modelの簡略化についてご講演いただきます。新規モダリティ開発戦略、QSPなどの新規数理解析技術をどう活用するかなど、製薬企業が直面している最前線の課題に、薬物動態研究者ができる新たな貢献についてヒントを提供したく企画しました。

(文責:大石昌代・千葉康司)

セッション3 Brain Delivery & Omics

 アンメットメディカルニーズが高い中枢神経疾患に対する創薬モダリティを効率的に脳関門を通過させて脳へ送達させる技術開発は未だ難題である。そこで本セッションでは、どのように創薬モダリティを脳内送達させるかについて、定量プロテオーム解析を用いた脳関門物流システムの理解による脳関門通過戦略の構築、脳関門をバイパスする経鼻投与による脳内送達技術の開発、実用化された脳関門通過技術であるJ-Brain Cargoに関する最新の知見を発表していただく。

(文責:伊藤慎悟・渡邉友子)

セッション4 創薬Modality

 創薬modalityのパラダイムシフトよって、従来の低分子医薬から、核酸・ペプチド・抗体といった中・高分子、細胞や遺伝子治療等のnew modalityへと医薬品開発のトレンドが大きく変革し、アンメットメディカルニーズにフォーカスした創薬が可能となってきた昨今、modalityの変革は製薬メーカーにとってチャンスであり大きなチャレンジでもある。ますます加速化が要求される創薬タイムラインの中で、創薬ストラテジーに合致した薬物動態評価項目の最適化、測定技術基盤の構築、レギュラトリーに則した創薬開発が課題点の一つとして挙げられ、各社試行錯誤で取り組んでいるのが現状である。本セッションでは、核酸とADCを取り上げ、創薬初期から開発に及ぶ各社の取り組みに関して実例を交えて紹介するとともに、レギュラトリーの観点からの示唆も含めて、幅広く薬物動態評価に役立つ内容となっている。

(文責:追立真孝・井上和子)

基調講演 「AI・シミュレーションから見る創薬モダリティのNew normal-COVID-19を超えて」

 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、単なる脱アナログを意味するのもではなく、組織、ビジネス、さらには社会の仕組みまでをも変革する時代の潮流そのものを表現している。製薬産業界においてもDXが創薬から市販後の医薬品の流通までのビジネスモデルそのものに変革をもたらす可能性が示唆されている。しかし、DXによって、巨額の資本、人的リソース、さらに長期の時間を要し、愚直に医薬品創製という高いハードルに挑んできた産業の歴史的転換は本当にもたらされるのであろうか?日本におけるビッグデータ、AI、スーパーコンピュータなどの計算技術を用いた創薬研究の第一人者である奥野恭史先生をお招きし、創薬におけるDXの現状と展望を、最新の研究例を交えてご講演頂きます。さあ、来るべき創薬新時代の姿は如何なるものなのか、乞うご期待!

(文責:平林英樹)

特別招待講演 「ヘテロ2本鎖核酸の開発」

 核酸医薬品は、化学修飾やDDS技術の進展と共に生体内安定性や薬効の向上が実現され、従来の創薬手法では難しかった遺伝性疾患等に対する新たな創薬モダリティとして注目されると同時に、有効性・安全性の更なる向上・医療/治療現場のニーズ充足に向け、肝臓以外の標的臓器、特に脳へのデリバリーには大きな期待が寄せられている。本講演では、フロントランナーとして本研究分野を長年リードされている横田先生より、血液脳関門通過を可能にした革新的なヘテロ2本鎖核酸医薬の開発に関する最新知見を将来展望と共にご講演頂けます。今後の創薬応用・開発戦略に与えるインパクトならびに医療・患者様貢献への可能性を考える一助になること間違いなし。お見逃しなく!

(文責:小森高文)