ニュースレター編集委員会より

はじめに

 間もなく春が到来します.ご卒業される方々,おめでとうございます! 新たなステージに向かって,夢と希望を持って前に進んで行きましょう.私は卒業してから随分と長い年月が過ぎました.年のせいでしょうか,最近の薬物動態研究は変化や進化のスピードが速く,かつ多様性が増してきたような気がします.ADC,細胞,LNP,EVs,PROTAC,TikTok,AAVにナノミセル.....あれっ,頭痛くなってきましたが,平成&令和世代の方々に置いて行かれないよう,好奇心を失わずに来年度も新たな挑戦の年にしたいと誓います.

 さて,間もなくワールド・ベースボール・クラシックが開幕します.昨年のサッカーW杯では格上のスペインとドイツを破ったこともあり,森保ジャパンはベスト16の成績でも称賛されましたが,野球は優勝を強く期待されています.想像もつかないプレッシャーの中で,チームの勝利のためだけに全身全霊でプレーする侍ジャパンの選手たちを全力応援したいと思います.(M.T.)

【トピックス】

  • 薬物動態学会ニュースレター発:レギュラトリーサイエンス情報
  • ベストオーラル賞,ポスター賞受賞者への本音アンケート

【受賞者からのコメント】

  • ベストポスター賞を受賞して(峰岸元気)
  • ベストポスター賞を受賞して(石田尚輝)
  • ベストポスター賞を受賞して(中園優也)
  • ベストポスター賞を受賞して(藏敷栞菜)
  • ベストポスター賞を受賞して(竹本誠也)
  • ベストポスター賞を受賞して(鈴木美記子)
  • ベストポスター賞を受賞して(佐藤 翔)
  • ベストポスター賞を受賞して(永易美穂)
  • ベストポスター賞を受賞して(中山美有)
  • ベストオーラル賞を受賞して(中山慎司)
  • ベストオーラル賞を受賞して(田村隆太郎)
  • ベストオーラル賞を受賞して(苫米地隆人)

【細胞治療製品の研究開発における薬物動態研究入門】

  • 第三回:細胞治療製品の定量分析に潜む落とし穴(2):ヒト細胞を高感度に定量する!?(中山美有,山本俊輔,後藤昭彦,守屋 優)

【DMPK 48に掲載された各論文の「著者から読者へのメッセージ」】

  • 創薬応用を目的としたMDR1-knockoutヒト腸管オルガノイドの樹立

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トピックス

薬物動態学会ニュースレター発:レギュラトリーサイエンス情報

 ガイドライン及びICHでの規制調和活動の最新動向など,薬物動態領域に関わるレギュラトリーサイエンス情報について,ニュースレター委員会より報告します.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用

ベストオーラル賞,ポスター賞受賞者への本音アンケート

 昨年11月の第37回年会では,一般演題から,3件のベストオーラル賞と9件のベストポスター賞が選出されました.ニュースレターでは,受賞者の先生方からコメントを寄せていただきましたが,受賞者の本音を探るため,匿名でのアンケートもさせていただき,11名から回答をいただきました.受賞の要因を自己分析してもらってもいます.今後の受賞を目指し,日夜研究に励まれている会員の皆様,大いに参考にしていただければ幸いです.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用

受賞者からのコメント

顔写真:峰岸元気

ベストポスター賞を受賞して

明治薬科大学
峰岸元気

 この度,日本薬物動態学会第37回年会におきまして,「PXRとCYP3Aを同時にヒト化したラットの薬物間相互作用解析における有用性」という演題で,ベストポスター賞という栄誉ある賞を賜り,大変光栄に思います.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:石田尚輝

ベストポスター賞を受賞して

金沢大学薬学系 分子薬物治療学研究室
石田尚輝

 この度は,日本薬物動態学会第37回年会におきまして,ベストポスター賞を戴きまして,大変光栄に思っております.ご審査頂きました選考委員の先生方,ならびに発表の機会を与えて頂きました年会長の平林英樹先生,日本薬物動態学会関係者の皆様に,厚く御礼申し上げます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:中園優也

ベストポスター賞を受賞して

金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 創薬科学専攻
薬物動態学研究室
中園優也

 この度は,日本薬物動態学会第37回年会におきまして,「A novel in vitro hepatocyte culture system for rapid evaluation of the biliary excretion of drugs」の演題でベストポスター賞という栄誉ある賞を授与頂き,誠にありがとうございます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:藏敷栞菜

ベストポスター賞を受賞して

熊本大学薬学部 微生物薬学分野
藏敷栞菜

 この度,日本薬物動態学会第37回年会において,「Transport characteristics of genetically engineered BBB-permeable cyclic peptide-conjugated monoclonal antibody in vitro and in vivo」という演題で,ベストポスター賞という名誉ある賞をいただきまして大変光栄に思います.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:竹本誠也

ベストポスター賞を受賞して

金沢大学大学院 医薬保健学総合研究科 薬学専攻
薬物代謝安全性学研究室
竹本誠也

 この度,横浜で開催された第37回薬物動態学会におきましてベストポスター賞という栄誉ある賞を頂き,ご審査いただいた先生方を始め,有意義な議論を交わしていただいた皆様に心より御礼申し上げます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:鈴木美記子

ベストポスター賞を受賞して

国立がん研究センター研究所 分子薬理研究分野
鈴木美記子

 この度,日本薬物動態学会第37回年会におきまして「高輝度蛍光ナノ粒子を活用した抗体薬腫瘍内分布の抗原依存性と不均一性のイメージング解析」の演題でベストポスター賞という名誉ある賞を賜り,大変光栄に思います.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:佐藤 翔

ベストポスター賞を受賞して

武田薬品工業株式会社 リサーチ 薬物動態研究所
佐藤 翔

 この度は,「Advanced physiologically-based pharmacokinetic model for transferrin receptor-mediated drug delivery system into brain in rats, monkeys and human transferrin receptor knock-in mice」という演題でベストポスター賞という名誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:永易美穂

ベストポスター賞を受賞して

中外製薬株式会社 トランスレーショナルリサーチ本部
永易美穂

 この度,日本薬物動態学会第37回年会にて「バイオ医薬品の非放射性金属を用いた標識法とマトリクスの影響を受けない誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を用いた新規動態評価法の開発」という演題でベストポスター賞を賜り,大変光栄に思います.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:中山美有

ベストポスター賞を受賞して

武田薬品工業株式会社 リサーチ 薬物動態研究所
中山美有

 この度は,日本薬物動態学会第37回年会において『State-of-the-art light-sheet microscopic imaging of a whole-brain with tissue clearing technique: Comprehensive analysis of brain distribution for antisense oligonucleotides』という演題で,ベストポスター賞を賜りました.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:中山慎司

ベストオーラル賞を受賞して

田辺三菱製薬株式会社 創薬本部 薬物動態研究所
中山慎司

 この度は,日本薬物動態学会第37回年会におきまして,「Construction of PBPK models describing the effect of simeprevir on co-administered drugs and endogenous substances」の演題でベストオーラル賞に選出頂き誠にありがとうございます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:田村隆太郎

ベストオーラル賞を受賞して

東京大学薬学系研究科 分子薬物動態学教室
田村隆太郎

 この度,日本薬物動態学会第37回年会において,ベストオーラル賞という栄誉ある賞をいただきまして誠にありがとうございます.審査いただきました選考委員の先生方をはじめとして日本薬物動態学会の関係者の皆様に厚く御礼申し上げます.・・・(続きはNLホームページへ

顔写真:苫米地隆人

ベストオーラル賞を受賞して

東京薬科大学 薬学部 薬物動態制御学教室
苫米地隆人

 この度は,日本薬物動態学会第37回年会におきまして,ベストオーラル賞という栄誉ある賞をいただき大変光栄に思います.審査いただきました先生方ならびに日本薬物動態学会関係者の皆様に厚く御礼申し上げます.・・・(続きはNLホームページへ

細胞治療製品の研究開発における薬物動態研究入門

第三回:細胞治療製品の定量分析に潜む落とし穴(2):ヒト細胞を高感度に定量する!?

集合写真:(左から順番に)守屋 優,山本俊輔,中山美有,後藤昭彦

(左から守屋,山本,中山,後藤)

武田薬品工業株式会社 リサーチ 薬物動態研究所
中山美有,山本俊輔,後藤昭彦,守屋 優

 こんにちは!前回は「遺伝子改変免疫細胞療法における定量分析や定量結果の解釈時に陥りやすい落とし穴とその対策」についてお届けしました.第三回は「PCR法を利用した動物生体試料中ヒト細胞定量における留意点」について,自社研究を中心に述べたいと思います.

 細胞治療製品の生体内分布評価は,その有効性および安全性を評価するために重要な示唆を与えてくれることはご存知の通りです.特に,人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell,iPS細胞)や胚性幹細胞(embryonic stem cell,ES細胞)を用いた細胞治療製品は,残存する未分化細胞が造腫瘍性を持つため,その生体内分布を明らかとし,造腫瘍性リスクを評価しなければなりません.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用

DMPK 48に掲載された各論文の「著者から読者へのメッセージ」

[Regular Article]

創薬応用を目的としたMDR1-knockoutヒト腸管オルガノイドの樹立

Inui, T., et al.

 経口投与医薬品の小腸における薬物動態をin vitroで評価する際に汎用されているCaco-2細胞は,薬物の代謝に大きく関与するCYP3A4の活性がほとんどない.また,特定のトランスポーターの阻害剤を作用させた検討では,阻害剤のオフターゲットによりトランスポーターの正確な機能評価が困難である.本研究では,生検由来ヒト腸管オルガノイド単層膜が,CYP3A4を始めとした各種薬物動態関連遺伝子の発現量や活性が高いことに注目し,主要なトランスポーターであるMDR1を欠損したヒト腸管オルガノイドを作製・単層膜化し,その有用性を評価した.その結果,MDR1のノックアウトは他の薬物代謝酵素やトランスポーターの遺伝子発現や活性に影響を与えなかった.また,MDR1-KO単層膜ではMDR1を基質とする薬剤の作用を正しく評価可能であった.一方,正常オルガノイド単層膜にMDR1の阻害剤を作用させた検討では,阻害剤のオフターゲットのためにMDR1を基質とする薬剤の作用を正しく評価出来なかった.従って,MDR1-KOヒト腸管オルガノイド由来単層膜は,従来の評価系よりもMDR1の機能を精度良く評価できることが示唆された.今後は,他の薬物動態関連分子をノックアウトしたオルガノイド株も用いて,精度の高い薬物動態評価パネルを作成したい.

新たな挑戦 動物からヒトへ【積水メディカル株式会社創薬支援事業部】
標識体合成から創薬・開発申請まで【株式会社ネモト・サイエンス】