Newsletter Volume 34, Number 5, 2019

学会 道しるべ

顔写真:竹本誠也

12th International ISSX Meetingに参加して

金沢大学医薬保健学域薬学類 薬物代謝安全性学研究室
竹本誠也

 この度は,2019年度若手研究者海外発表支援事業に採択していただき,誠にありがとうございました.日本薬物動態学会会長の山崎浩史先生,国際化推進委員会委員長の大槻純男先生をはじめ,選考委員会の先生方に厚く御礼申し上げます.私は12th International ISSX Meetingに参加し,ポスター発表を行いました.発表を行う中で,海外の先生方・研究者とディスカッションさせて頂き,多くの刺激を受けることができました.また何よりも,自身の発表を多くの先生方に聴いてもらうことができたことは,研究に対する自信やモチベーション向上につながりました.私は学部5年生であり,駆け出しの身ではありますが,早期から国際学会に参加し,多様な考え方や意見に触れることで大変有意義な時間を過ごすことができました.また,ISSXに初めて参加させていただき,世界の薬物動態領域における動向について学ぶことができました.今,どのような研究が世界では盛んに行われているのだろうか?これからどのような情報,技術が求められるのだろうか?という疑問は研究室の中,国内の学会だけではあまり解決できません.さらに様々な分野の先生から自身の研究についての質問,意見を受けることで自分の研究を見つめ直す機会となり,研究に対する視野も広がりました.

 今回,私はA-to-I RNA editing modulates the expression of human pregnane X receptorという題目で発表させていただきました.RNA上のアデニンを修飾することでイノシンに変換するA-to-I RNA編集は遺伝子の機能や発現に影響を与え得る転写後調節の一種です.私はA-to-I RNA編集を触媒するAdenosine deaminase acting on RNA (ADAR) という酵素がPXRの発現を転写後レベルで負に制御することを明らかにしました.薬物代謝酵素や薬物トランスポーターなどの薬物動態制御因子におけるRNA編集の意義は不明な点が多い現状ですが,PXRの発現制御に対するRNA編集の役割を示すことができました.ポスター発表では,ADARの発現は生体内でどのようなときに変動するのか,薬物によってADARの発現は変動するのかなど様々な質問を頂きました.今後の研究の展開に繋げたいと思います.

 国際学会では当然,英語でのコミュニケーションが求められますが,私の拙い英語を海外の研究者らは熱心に聞いてくださいました.自身の英語力が未熟であることを痛感しましたが,それでもコミュニケーションを行うことができたことは自信にもつながりました.また,ディスカッションの中で自身の研究について多種多様な意見をいただき,発想力や想像力を広げることができました.学生の皆さん,国際学会の参加は国内の学会では味わうことのできないような体験をすることができ,また自身の研究へのさらなるモチベーション向上につながりますので,是非,国際学会に参加してみてください.

 支援事業により国際学会に参加させていただいたお陰で貴重な体験をすることができました.この経験をいかし,自身の研究にさらに邁進して参りたいと思います.

学会風景

<ポスター発表>
ポスターに指を差し説明している写真
<学会会場>
12th International ISSX Meetingのゲート前で3人並んで写っている写真