受賞者からのコメント
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ベストポスター賞を受賞して大塚製薬株式会社 徳島創薬研究センター 前臨床研究所 薬物動態研究部
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この度は,第40回薬物動態学会年会において「Method Development of Using Oxidative Reaction by Porphyrin for Structure Determination of Drug Metabolites」という演題でベストポスター賞を賜りました.大変光栄に存じますとともに,選考委員の先生方ならびに学会関係者各位に心より御礼申し上げます.
従来,代謝物の構造決定には,最も可能性の高い構造を順次合成し,対象代謝物との一致を確認する方法が用いられてきました.しかし,多数の候補が想定される場合には時間・労力・コストの面で大きな負担となります.そこで,我々はP450の活性部位であるポルフィリンを用い,生体内代謝を模倣した化学的な酸化反応により代謝物を得る「直接酸化法」を開発し,ゲフィチニブを基質として評価しました.
ポルフィリン,酸化剤,溶媒を組み合わせて条件検討を行い,LC-MS/MSを用いて生成される主要な代謝物を定量しました.18条件の反応評価によりポルフィリン,酸化剤,溶媒の反応条件を最適化し,48時間以内に各代謝物の最適条件を決定可能であることを示しました.スケールアップにより,NMRを用いた構造解析に必要な量を短時間かつ低コストで取得可能であることを示しました.
また,ヒト肝ミクロソーム代謝アッセイと「直接酸化法」を比較したところ,ミクロソームで検出された15代謝物のうち,11代謝物が「直接酸化法」でも検出されました.このことから,「直接酸化法」はP450の活性中心であるポルフィリンを用いることで,第I相反応に類似した酸化反応が達成された可能性が示唆されます.加えて,本法は酵素ではなく化学反応のみに依存するため,スケールアップや精製が容易であり,ミリグラムオーダーの代謝物を効率的に供給するプラットフォームになり得ると考えています.
本手法により,合成化学の専門性や特殊な設備を要さず,目的の代謝物を迅速・簡便・低コストで生成できることを示すことができました.今後,創薬研究における代謝物構造決定の一選択肢として,多様な低分子医薬品に適用されることを期待しております.
最後になりましたが,共に研究を遂行した日堂佑哉氏,広瀬悠太氏,ならびにご指導・ご支援を賜りました篠原俊夫氏,金子洋介氏,また大塚製薬株式会社 徳島創薬研究センター各位に,この場をお借りして深く感謝申し上げます.

