Newsletter Volume 41, Number 1, 2026

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CoRTIS -Corporate Rising Talents Initiative Session- 開催の舞台裏

執筆者:第4回CoRTIS実行委員
横山 幹(第一三共株式会社
望月達貴(中外製薬株式会社
中山丈史(アステラス製薬株式会社
德永彩子(大塚製薬株式会社
大津誠太郎(小野薬品工業株式会社
河合夏苗(塩野義製薬株式会社
吉田はるな(住友ファーマ株式会社
小島慧理果(武田薬品工業株式会社

 第40回薬物動態学会年会において,第4回CoRTISを開催いたしました.

 CoRTISはCorporate Rising Talents Initiative Sessionの略称であり,主に企業等で薬物動態研究に従事する若手研究者の交流と相互成長を意図した企画です.

 本記事では,CoRTIS設立の背景から今後の展望,実行委員だけが知る舞台裏に至るまでを公開いたします!

CoRTIS設立の背景

 CoRTISは2022年の横浜年会にて年会企画として発足しました.コロナ禍により途絶えた若手企業研究者の交流を促進するという目的のもと,各社上長の声かけにより若手実行委員が集まり,企画と運営を行う形で動き出しました.その後2023年は再び年会企画として開催し,2024年から日本薬物動態学会主催企画としての開催に至りました.回を追うごとに参加者も増え,今では20社を超える企業から50名以上の若手参加者が集まる企画となりました.また,若手だけではなく各社の上長の方々にも参加していただくことで,会社を超えた若手同士の「横のつながり」だけではなく「斜めのつながり」を生む場としても貴重な機会となっています.

 当初は上長からの声かけで動き始めた企画ですが,回を重ねるにつれて若手実行委員の主体性が増し,現在では実行委員会の組織から参加者募集,企画運営に至るまで全ての活動を若手主体で取り組んでおり,まさに若手同士の相互成長を体現する活動となっています.(実行委員長・横山)

第4回CoRTISの内容

 第4回CoRTISでは,「薬物動態の未来を拓く,若手研究者の交差点」をテーマに,キャリア形成を中心とした意見交換を行いました.セッション冒頭では, Subject Matter Expert(SME)制度の紹介があり,専門性を高める仕組みやキャリアパスの多様性について理解を深めました.続いて,年次や専門性の異なる参加者同士が,自身の興味分野や強みを踏まえ,今後目指すキャリアの方向性や必要なスキルについてグループディスカッションを実施しました.研究職からマネジメント職への転換や,専門性を磨くためのスキル習得など,率直な意見交換が行われ,他社の若手との交流を通じて新たな視点を得る場となりました.

 さらに今回は初の試みとして,事後ワーク(全員対象)とオンライン事後共有会(任意参加)を導入しました.共有会では,年次や専門分野の近い若手同士が「〇年度に目指す姿」や「そのためのアクションプラン」,さらには現状の悩みを自由に話し合い,互いに刺激を受ける場となりました.参加者からは「他社の若手と率直に話せる貴重な機会だった」との声も寄せられ,単なるイベントにとどまらず,継続的な成長のきっかけを提供できたと考えています.(河合)

実行委員の舞台裏

 第1回から第4回まで,年1回のペースで開催されてきたCoRTISですが,その舞台裏を支えるのが,企画運営を担う我々CoRTIS実行委員です.実行委員は毎年メンバーが入れ替わり,所属企業や年次も回ごとに構成が異なります.第2回までは6人体制でしたが,第3回からは8人体制となり,実行委員の選出方法自体も変わりました.現在は,現任の実行委員が主体となって次期メンバーを選ぶ仕組みを採用しています.

 開催概要や企画テーマの設定,プログラムの考案はもちろん,参加者募集の方法や規模,ディスカッション形式まで,CoRTIS開催に向けて実行委員で検討すべき項目は多岐にわたります.CoRTISの企画内容に特定の形式はなく,毎回オリジナルな内容を目指すため,第4回では開催の半年以上前から打ち合わせを開始していました.週1回,1時間程度のリモート打ち合わせを実施しているので,当日までに20回以上の議論を行っている計算になります.毎回,雑談をする時間的余裕もない程にみっちりと議論をしていましたが,ラフなコミュニケーションの時間がないのも寂しいということで,最近では開始後5分間の雑談タイムを取り入れています.

 開催準備から当日の進行,後日の振り返りまでのすべてを実行委員で担うことの大変さはあるものの,実行委員だからこそ得られた経験も数多くあります.普段交わることのない参加者同士が交流を楽しみ,新たな関係性を構築する一助になれていると実感した際には,苦労以上に大きなやりがいを感じました.さらに,共にCoRTISを作り上げた実行委員同士の絆や,活動を通じて広がる横のつながりは,何にも代えがたい貴重な財産となっています.(吉田)

今後の展望

 これまで4回のCoRTISを通じ,通常では関わることがなかったであろう多くの若手企業研究者同士の交流が促進されました.専門性が多様化する中で,共通項となるトピックである薬物動態研究の将来展望やキャリアに焦点を当てた企画を重ねてきたことが,その大きな要因の一つだと考えています.一方で,相互の研究力向上という観点では,なお改善の余地があると捉えています.そこで次のステップとして,2026年つくば年会会期中に開催予定の第5回CoRTISでは,何らかの形で若手の研究力を相互に高める内容の実現を目指します.また,CoRTISの将来的な展望として,2025年より新設された日本薬物動態学会認定資格SMEとの相乗効果も期待しております.CoRTISが若手研究者の研究力を高めSME取得を加速するきっかけとなり,SME取得者が中心的な役割を担いCoRTISを形作っていくという正の循環を生み出すことを目指しています.

 もう一つの重要な展望として,本学会全体の発展への貢献が挙げられます.学会の将来を担う有望な若手企業研究者の育成こそがCoRTISの本丸の目的であり,その達成が学会の長期的な発展に直結すると考えています.また将来的には,企業若手研究者の枠組みを超え,学会内の他組織やDISとのコラボレーションを通じて,学会全体の活性化につながる波及効果を期待しております.

 CoRTISの継続的な実施により,今後の日本薬物動態学会を牽引する若手研究者がアカデミアからだけではなく企業からも続々と輩出されること,ひいてはCoRTISが本学会の発展に貢献することを強く願っております.(2026年度実行委員長・望月)

謝辞

 最後になりますが,CoRTIS立ち上げにご尽力いただいた株式会社ティー・エヌ・テクノス 平林英樹氏,千葉大学 水内 博氏,第一三共株式会社 中井大介氏,CoRTIS開催にあたりご理解とご支援を賜った学会長ならびに理事の皆さま,各社上長の皆さま,共にCoRTIS実行委員を務めた皆さま,そしてCoRTISに参加してくださった若手研究者の皆さまに実行委員一同より厚く御礼申し上げます.

(第4回CoRTIS当日の様子)
(第4回CoRTIS参加者の集合写真)
(実行委員の集合写真)