Newsletter Volume 41, Number 1, 2026

受賞者からのコメント

顔写真:和泉沙希

ベストオーラル賞を受賞して

エーザイ株式会社 グローバル薬物動態研究部
和泉沙希

 このたび,日本薬物動態学会第40回年会においてベストオーラル賞を賜り,大変光栄に存じます.年会長の山下富義先生,選考委員の先生方,ならびに学会関係者の皆様に,心より御礼申し上げます.

 本大会では「Impact of CP-I precursors on the evaluation of OATP1B-mediated drug–drug interactions based on CP-I concentrations in monkeys」と題し,OATP1BsのバイオマーカーであるCoproporphyrin I(CP-I)に関する研究成果を発表いたしました.ヒトおよびサル血漿中にはCP-Iの前駆体がCP-Iの10倍以上存在し,これが血漿中で容易に酸化されてCP-Iへと変換することから,従来“CP-I”として扱われていた定量値が実際には前駆体に由来するものであったことを明らかにしました.さらにサルを用いた検討では,前駆体を除去して純粋なCP-Iを定量することで,OATP1Bsを介した薬物間相互作用をより鋭敏に検出可能となること,その背景には基質依存的阻害およびElimination pathwayにおけるOATP1B寄与率の違いがあることを示しました.

 発表後は質疑応答のみならず,会場でも多くの先生方からお声をかけていただき,研究の独自性やインパクトについて温かいお言葉を頂戴しました.私自身,これほどの反響をいただいたのは初めてで,大変励みとなりました.

 本大会は,私にとって育児休暇からの復職後,初めての宿泊を伴う学会参加でもありました.夫の仕事との調整がつかず,両親の助けを得ながら学会発表を行うことに,躊躇する気持ちもございました.しかし,育児を理由に挑戦しないことは,私自身にも,支えてくださる先生方や同僚,そして家族にとっても望ましい選択ではないと感じ,思い切って参加いたしました.結果として,受賞の機会を頂いただけでなく,多くの励ましに触れるという,かけがえのない経験となりました.本大会で得た学びを糧に,今後も薬物動態研究の発展に貢献できるように,一層精進してまいりたいと存じます.

 最後に,共同研究者である小石川知生氏,石井琢帆氏,ならびにご指導を賜りました野崎芳胤氏,楠原洋之先生,そしてエーザイ株式会社グローバル薬物動態研究部の皆様に,この場をお借りして深く感謝申し上げます.