Newsletter Volume 33, Number 2, 2017

学会 道しるべ

日本薬物動態学会第32回年会
第3回学生主催シンポジウムのオーガナイザーを経験して

写真:ミキサーにて広報活動の様子

 2017年11月29日から12月1日の3日間にわたり日本薬物動態学会第32回年会が開催され,第3回学生主催シンポジウムはその2日目である11月30日に行われた.学生オーガナイザーは宮崎歌織さん(東京薬科大学大学院 薬学研究科)とともに3人で務めた.本シンポジウムは,未来の薬物動態学の発展を担う若手研究者の講演能力とディスカッション能力の向上ならびに若手から研究推進の原動力を生み出すことを趣旨として,第1回(2015年11月),第2回(2016年10月)に引き続き企画した.なお,本シンポジウムはこれまで,学生がオーガナイザー,座長,及び教育講演を除く演者を務めてきたが,演者の応募資格としては,博士号取得前の企業研究者も対象にしており,広く若手研究者の参加を呼びかけてきた.今回は第3回ということで学生主催シンポジウムをさらに発展させることを目的に,演題数をこれまでの4演題から6演題へと増やし,発表分野もADMEに毒性を加えたADMETの分野にて募集した.

写真:シンポジウムの様子。演者6名

 オーガナイザーを共に務めることについて宮崎さんから初めて連絡をいただいたのは2017年1月末頃であり,それから約10ヵ月間,多くの方々と協力しながら学生主催シンポジウム開催に向けて話し合いを重ねてきた.中でも演者・座長を選出するには,他の研究室の学生にコンタクトをとらなければならず,他の研究室とのつながりが薄い学生にとっては難しく大変苦労した.そこで今回は初の試みとして日本薬剤学会第32年会(2017年5月11日~13日)の若手研究者向けミキサーにて,学生主催シンポジウムを周知するための広報活動を行った.日本薬剤学会に参加している学生の中には日本薬物動態学会にも参加予定の学生がおり,また,学生主催シンポジウムの応募期間中に日本薬剤学会第32年会が開催されたことから,ある程度の広報効果があったのではないかと考えている.また,日本薬物動態学会会員向けにメールで配信される「事務局からのお知らせ」にも演題募集の旨を記載していただき,学会員に対しても周知を行った.

写真:教育講演の様子

 多くの方々の協力を得て無事に演者・座長を選出することができ,学生6演題と九州大学大学院薬学研究院 グローカルヘルスケア分野の松永直哉先生の教育講演による学生主催シンポジウムを開催することができた.教育講演では「体内時計を基盤とした育薬・創剤・創薬研究」というタイトルで,ご自身の経験を踏まえて研究の面白さについてご講演いただき,今後様々な分野で研究を進めていく若手研究者にとって非常に有意義な内容であった.学生主催シンポジウムには多くの学生が参加しており,学生の積極的な質疑が印象的であった.

 このように多くの方々にご協力いただきながらの開催となったが,学生の間にシンポジウムを企画・運営するという大変貴重な経験をさせていただくことができた.また,様々な分野の若手研究者と交流することで自身の研究意欲を向上させる良い機会となった.

 最後に,年会長を務められた高野幹久先生,学生主催シンポジウムの窓口を担当していただいた川見昌史先生のご尽力に深く感謝するとともに,快く教育講演を引き受けていただいた松永直哉先生をはじめとして多大なご支援をいただいた日本薬物動態学会の会員の皆様に厚く御礼申し上げる.また,突然の申し出にも関わらずミキサーでの広報活動を快く承諾していただいた日本薬剤学会第32年会年会長の肥後成人様,学生主催シンポジウム(Student Network for Pharmaceutics Education and Evolution, SNPEE2017)組織委員長並びに若手研究者向けミキサーの主催者である鶴留優也様にもこの場を借りて深く御礼申し上げる.

 今後とも学生主催シンポジウムは若手研究者が活躍できる場として機能し,若手研究者が自由闊達に議論及び交流をすることによって,研究推進能力及び研究意欲を向上し,将来の薬物動態学領域を担う人材へと成長することに繋がると考えている.

学生の6演題
教育講演 演者:松永直哉 演題:体内時計を基盤とした育薬・創薬・創薬研究