Newsletter Volume 31, Number 5, 2016

Newsletter Volume 31, Number 5, 2016

はじめに

 リオ五輪で盛り上がった暑い夏も終わりを告げ,食欲の秋がやってきました.年会開催地の松本で食欲を満たした読者も多いことでしょう.今号では,食欲に加え,旺盛な知識欲を満たしていただくべく,薬物動態研究を専門にしていらっしゃらない先生お二方からご寄稿いただきました.「Researcher Spotlight」は横浜市立大学 小島伸彦先生よりミニチュア臓器の作り方,「技術の窓」は群馬大学 佐藤記一先生よりマイクロ人体モデルBody-on-a-Chipの開発についてご紹介いただいています.新たな研究へのきっかけとなることを期待しております.

 さらに,「アドメサークル組織編」は金沢大学 玉井郁巳先生から最終回となる玉稿をいただきました.第4回目の「企業で活きる薬物動態の基礎講座」は,成富洋一先生からnon-P450で代謝される化合物のヒトPK予測,平林英樹先生からはコンパートメントモデルを使った解析方法について前回に引き続きお話しいただきます.シリーズの「トピックス(秦 武久先生)」もございます.今号も話題が盛りだくさんですので,秋の夜長のお供としてどうぞご堪能ください.

特集記事のご紹介

トピックス

 第23巻第6号(2008年)に開始した本記事は,電子メール版においても継続いたします.医薬品等の研究開発,品質・非臨床・臨床・市販後を通しての新しい試験や評価の方法を中心に,MHLW(厚生労働省),FDA(米国食品医薬品庁),EMA(欧州医薬品庁)の3極規制当局およびICH等の国際的な最新規制情報を紹介していただきます.本記事を通して,医薬品等の品質・安全性・有効性について科学的視点からの適切な判断を下すための最新の指針に精通していただき,会員各位の業務に有効にお役立ていただければ幸いです.

Researcher Spotlight

 このコーナーでは,大学,企業,医療機関等で精力的に活躍されている先生方に登場いただき,御自身の研究・仕事への想い,教育・人材育成の考え方,将来展望や学会への期待などを述べていただきます.「Spotlight」を浴びながらの自由闊達な自論展開にどうぞご期待下さい.

アドメサークル 日本の薬物動態研究組織

 「アドメサークル 日本の薬物動態研究組織」は,企業または教育・研究・医療機関において動態関連の組織の立ち上げに関与した先生,あるいは主導的な立場でご活躍された先生方にご寄稿いただき,薬物動態学会として,そのご経験を共有することを趣旨とした記事を連載しております.単なる研究概要の紹介にとどまらず,研究に至った経緯や,その達成のためのエッセンスをご執筆いただいております.本記事が,会員の皆様にとって研究遂行のためのヒントとなれば幸いです.

企業で活きる薬物動態の基礎講座

 このコーナーは日本薬物動態学会第30回年会の初日に行われ,好評を得た学会活性化委員会DIS「企業で活きる薬物動態の基礎講座」のセッションでご発表いただいた成富洋一先生および平林英樹先生に誌上にてその内容を再構成していただいたものです.特に創薬現場での薬物動態研究で必要な知識や技術を分かりやすく解説する講座として設けました.基礎的な内容であればあるほど,なかなか人には聞きにくいものであり,本で調べても記載していないことも多々あります.企業研究者だけでなく,これから企業での薬物動態研究を目指す学生にとっても貴重な情報になると思われます.ご期待ください.

技術の窓

 このコーナーでは,薬物動態研究に役立つ技術を企業および大学の先生方に紹介していただきます.新しい技術,動態の分野に別の分野から導入された技術,もともとある技術の新しい使い方,など,薬物動態研究を発展させる可能性がある技術を紹介していくことを目的としています.本コーナーで取り上げたい技術がございましたら,ご意見をお寄せください.