ニュースレター編集委員会より

はじめに

 木々の緑がいっそう深まり,夏の気配を感じる六月となりました.北中米で開催されているサッカーW杯に熱い視線を送っている方も多いのではないでしょうか.皆さまのご贔屓の国の活躍はいかがでしょうか.

 身近なところに目を向けますと,新年度の慌ただしさも落ち着き,新入社員や新たに研究室に加わった学生の皆さんも,日々の業務や研究に徐々に慣れ,それぞれの立場で新たな挑戦を重ねていることと思います.

 現在,製薬業界では,創薬モダリティの多様化や開発スピードの加速,さらにはAI技術の活用拡大など,かつてない変革が進行しています.こうした状況の中,薬物動態研究には,従来以上に迅速かつ高度な意思決定を支える役割が求められています.

 一方で,研究環境が複雑化する今だからこそ,基礎的なサイエンスへの理解や,研究者同士の対話の重要性は変わりません.若手研究者の新鮮な視点と,経験豊かな研究者の知見が融合することで,新たな発想や価値の創出につながることを期待しています.

 本ニュースレターが,会員の皆さまにとって情報共有や交流を深める一助となれば幸いです.

動態研究に取り組むNEW POWER

  • 治療薬物モニタリングの発展に挑む臨床研究とアプリケーションの開発(尾田一貴)

今さら聞けない改変抗体の体内動態研究

  • 第4回:組織移行性を高めた改変抗体
    ―組織に“入れる”と“留める”を両立する分子設計―
    (野口裕生,原谷健太)

DMPK 68に掲載予定の論文一覧

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動態研究に取り組むNEW POWER

顔写真:尾田一貴

治療薬物モニタリングの発展に挑む臨床研究とアプリケーションの開発

熊本大学病院 薬剤部/熊本大学大学院薬学教育部 臨床薬物動態学分野
尾田一貴

 熊本大学病院薬剤部の尾田一貴と申します.この度は日本薬物動態学会ニュースレター「動態研究に取り組むNEW POWER」へ寄稿する機会を頂き,編集委員の皆様をはじめ関係者の方々に深謝申し上げます.私はこれまで臨床薬剤師として,主に感染症領域における治療薬物モニタリング(TDM)の実践と研究に取り組んでまいりました.キャリアの初期には一般病院においてTDM体制の立ち上げに携わり,日常診療の中で得られる個々の症例データを詳細に解析することの重要性を実感いたしました.その過程で,薬物動態解析を効率化するツールとしてBMs-Pod(医療薬学 2011)を開発し,臨床現場での意思決定支援に活用してきました.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用

今さら聞けない改変抗体の体内動態研究

第4回:組織移行性を高めた改変抗体
―組織に“入れる”と“留める”を両立する分子設計―

中外製薬株式会社 研究本部 バイオ医薬研究部 DMPKG
野口裕生
原谷健太

野口裕生,原谷健太の顔写真

 今さら聞けない改変抗体の体内動態研究シリーズの第4回は,組織移行性を高めた改変抗体について,薬物動態研究を含めてご紹介します.抗体はエンドソームにおいて,Fc領域を介してFcRn(neonatal Fc receptor)に結合してリサイクリングされ,リソソーム分解を回避することで長い半減期を示すことが特徴のひとつです.一方で,約150 kDaと分子量が大きく,血管外に出て組織分布する量は限られます.一般的な組織での抗体濃度は血漿中濃度の数%〜十数%程度ですが,例えば脳では,血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)のような高度なバリア機能が存在するため,抗体の血漿中濃度に対する移行率としては約0.1%と極めて低いです.また,関節軟骨は無血管性の密な細胞外マトリクスから成るため,抗体が浸透しづらい組織のひとつです.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用

DMPK 68に掲載予定の論文一覧

 各論文のabstractおよび論文内容詳細については,以下のリンクをご覧ください.
Drug Metabolism and Pharmacokinetics | Vol 68, June 2026 | ScienceDirect.com by Elsevier

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