Newsletter Volume 37, Number 5, 2022

Newsletter Volume 37, Number 5, 2022

はじめに

 コロナ禍の前はよく出かけていた旅行も最近はめっきりご無沙汰でしたが,先日久しぶりに山歩きに出かけてきました.あいにくその日は天候があまりよくなく,霧がかかって周りの景色が見えない時間が多かったのですが,一瞬霧が晴れて青空や山並みなどの美しい景色が見えると,とても心が癒され,リフレッシュした気分になりました.霧の中で時折見える景色もとてもきれいでしたが,やはり今度は天気がいい時にもう一度訪れて,その美しい景色を思う存分満喫したいと思いました.世界中で新型コロナウイルス感染症が広がり,もうずいぶんと経ちましたが,感染者の待機期間の短縮や入国者数の上限の撤廃など,さまざまなことが少しずつ緩和されてきました.すっきりと霧が晴れたようになるのはいつになるかはわかりませんが,早くそのような時が来ることを願うばかりです.

 さて,いよいよ第37回年会の開催が間近に迫ってまいりました.今回は第34回年会以来の3年ぶりのオンサイトでの開催です.私としてもに久しぶりの現地開催の学会への参加となりますことから,皆様と直接お会いしてさまざまな議論やお話ができることを楽しみにしています.(T.I.)

特集記事のご紹介

トピックス

 新規発見や手法の開発など学問の発展に伴い,医薬品等の研究開発から市販後の評価項目やその手法は絶えず進化しています.それに呼応して,日米欧の規制当局およびICH等からの規制情報も随時更新されています.ここでは,医薬品開発に用いる最新の技術・知見,医薬品審査の規制情報及びそれらに関連する情報のトピックスを紹介していきます.本記事を通じて,会員各位の業務に有効にお役立ていただければ幸いです.

細胞治療製品の研究開発における薬物動態研究入門

 細胞治療は,生きた細胞を患者へ投与もしくは移植することで細胞・組織・臓器の機能を改変・修復する革新的な治療です.細胞治療製品の研究開発では,血液中細胞濃度を経時的に評価する細胞動態(cellular kinetics: CK)評価や, 組織への移行を評価する生体内分布(biodistribution: BD)評価が行われます.細胞治療製品は,低分子化合物や抗体医薬,核酸医薬などとは性質が大きく異なるため,薬物動態評価の際には従来の常識に捕らわれずに試験デザインやデータ解釈を行う必要があります.本記事では,細胞治療製品のCKやBD評価のための分析法,CK/BD評価時に実験者が陥りやすい落とし穴,細胞治療製品のCKやBDの基本的特性及びCK/BD解析時のモデリング&シミュレーションの有用性等について,複数回に渡り紹介していきます.