Newsletter Volume 34, Number 3, 2019

DMPK 34(3)に掲載された各論文の「著者から読者へのメッセージ」

[Regular Article]

CYP2C19代謝に対する天然果実成分の阻害キネティクス

Seki, H., et al.

 薬物相互作用の主要因はcytochromeP450の阻害であり,阻害様式や強度によって臨床上の影響は異なることからその解析は重要である.本研究では,肝臓や小腸に発現し薬物飲食物間相互作用に関与する可能性があるcytochrome P450 2C19 (CYP2C19) に着目し,ワイン等に含まれるresveratrolやグレープフルーツジュース成分である6′, 7′-dihydroxybergamottinおよびbergamottinについてその詳細な阻害様式やキネティクスをヒト組み換えタンパク質を用いて検討した.その結果3成分いずれも不可逆的阻害であるmechanism-based inhibitionが主要な阻害様式であることが明らかとなった.さらに,各成分の一日摂取量と得られた阻害キネティクスパラメータから臨床上の影響を評価したところ強力な阻害作用を示すことが示唆された.このことは,天然果実成分であるこれら3成分による小腸CYP2C19阻害を介した新たな薬物飲食物間相互作用の可能性を示すものであり,一部のCYP2C19基質薬物との併用は注意が必要と考えられる.現在,相互作用における個人差の影響を定量的に明らかにすることを目的に変異型分子種を用いて更なる検討を行っている.