Newsletter Volume 40, Number 3, 2025
はじめに
早いもので2025年も折り返し地点に差し掛かっています.今年は平年よりも梅雨入りが遅く,6月から8月の気温は全国的に平年より高いそうで,より熱中症対策が重要になる夏になりそうです.
今年の前半を振り返りも兼ねて,生成AIに「2025年の日本の最も印象的な出来事」を聞いたところ,大阪・関西万博の開催が挙げられました.皆様ご存じとおり,大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」(Designing Future Society for Our Lives)とのテーマのもと,最先端技術など世界の英知が結集し新たなアイデアを創造発信が行われています.日本の国家戦略「Society 5.0」,つまり「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより,経済発展と社会的課題の解決を両立する,人間中心の社会」の実現をめざす取り組みの一つでもあります.AI,IoT,ビッグデータの利用等,近年の科学の発展のスピードは非常に速く,20年後の生活はどうなっているのだろうと思うことがあります.私は関東在住ということもあり,まだ万博に参加する機会を作れていませんが,閉会までに子供と一緒に参加し,万博をとおして未来社会の一端に接する機会を持てたらと考えています.
本ニュースレターでの最新の研究成果や学会活動の報告などの共有をとおして,世界的な科学の進歩のスピードに遅れず,時には先行できるよう,皆様に有益な情報をお届けして参ります.今号のニュースレターも充実した内容となっていますので,ぜひお目通しを下さい.(S.K.)
トピックス
薬物動態学会ニュースレター発:レギュラトリーサイエンス情報
ガイドライン及びICHでの規制調和活動の最新動向など,薬物動態領域に関わるレギュラトリーサイエンス情報について,ニュースレター委員会より報告します.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)
動態研究に取り組むNEW POWER
特殊集団における薬物療法の最適化を目指して
大分大学医学部附属病院薬剤部
田中遼大
大分大学医学部附属病院薬剤部の田中遼大と申します.この度は日本薬物動態学会ニュースレター「動態研究に取り組むNEW POWER」へ寄稿する機会を頂き,編集委員の皆様をはじめ関係者の方々に深謝申し上げます.私は熊本大学大学院博士後期課程修了後,2014年4月に現職の大分大学医学部附属病院薬剤部に入職いたしました.大学院時は動物や細胞を用いた薬剤学的基礎研究に従事しておりましたが,入職後は主に抗菌薬適正使用の推進や治療薬物モニタリング(TDM),医薬品情報管理(DI)業務に従事し,薬物療法の適正化に関わる臨床薬剤師として勤めてきました.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)
今さら聞けない標的タンパク質分解誘導剤(Targeted protein degrader, TPD)の体内動態研究
第3回:Bifunctional Protein DegraderのPKPDの解釈に影響を与える要因
アステラス製薬株式会社 トランスレーショナル&バイオメディカルサイエンス
大﨑史雄
前回に引き続き,New modalityの研究開発における薬物動態研究入門の第三弾として,「標的タンパク質分解誘導剤(Targeted protein degrader, TPD)」の話題について書きます.TPDは,主にがん領域における研究開発がここ数年で活発化しており,注目されている新たな「低分子」モダリティです.本シリーズでは,その特徴を薬物動態およびトランスレーショナル研究の観点からどのように評価し,臨床での有効性を予測していくかについて,全三回にわたりご紹介しています.第三回は,TPDの一種であるBifunctional protein degraderのPKPDの解釈に影響を与える要因について,文献情報を中心に紹介したいと思います.・・・(続きはNLホームページへ/会員専用)